NPO訪問レポート

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三浦らしい商品作りで、 利用者のやりがいを創出する

NPO法人精神障害者のあすの福祉をよくする三浦市民の会ぴあ三浦

 

日本国内の 精神障害者の数は年々増加しており、その総数は全国で323万人を上回っていると言われます。

障害者が、日中過ごす場であり、働く場である「福祉作業所」。

その一つ、「三浦うしお作業所」で5年前に、新卒で異例の施設長を務めることになった岩崎諭史さん(30)にお話を伺いました。

岩崎さんは上大岡の出身。大学時代に「青少年の家」でのボランティア活動を通じて、

発達障害を持つ子どもと出会ったことをきっかけに、臨床心理士を志します。

知人の勧めもあって、精神保健福祉士の資格を取得。専門学校の理事長の勧めで、当時自立支援法が成立する中で、家族団体から法人格取得へと動いていた「NPO法人精神障害者のあすの福祉をよくする三浦市民の会 ぴあ三浦」が運営する、三浦うしお作業所の施設長に就任します。

 岩崎さんが就任した当時、三浦うしお作業所の作業内容は、健康食品のサンプルの組み立て等の簡単な作業が多く、利用者のやりがいにつながる作業はなかったといいます。

ある時、理事長の「三浦らしいものを創ろう」というひと声があり、試行錯誤を始めた岩崎さんは、知り合いから、鮮魚店が長年守ってきた伝統の味「マグロの角煮」が、閉店に伴い失われようとしていることを耳にします。

その後、鮮魚店の店主の元での約1か月半の修行を経て、マグロの切り方や、調理の仕方、機材の扱い方等をすべて習得し、資格なども取得して、見事「マグロの角煮」の製造にこぎつけました。

その後の販路開拓や、作業手順の研修等を経て、地域の祭り等を中心に

販売をスタート。

この取組が注目され、マスメディア等にも取り上げられたり、地元の人から「うしおさんのところのマグロの角煮」と認知されるようになり、利用者の自信ややりがいにつながる出来事になったと言います。

 

「利用者やその家族の中にはかつての自分と比べて、引きこもっている自分を悲観している人もいるんです。

でも大切なのは、今の自分を受け入れること。働けなかった人が働くことができるようになることも変化ですし、長期ひきこもりだった人が、週1回でも通所するようになったらそれは大きな変化。今の状態から、少しでも

人生の幅が広がってくれればいい。利用者をどう幸せにしていくか、が私達の役割だと感じています。」

現実や課題に直面し、悩み続けながらも、2年前くらいから自分のスタイルで仕事ができるようになった、と語る岩崎さん。そこには地域の人達の励ましや協力があると言います。

「三浦の風土には頑張っている人を応援するという性質があると思うんです。若い自分が頑張っていると、三浦の地域では本当によく応援してくれます。地域の人に支えられて今がある、という実感がありますね。」

 

また、福祉法人としては珍しく、施設長の岩崎さん自ら、神奈川県中小企業家同友会や青年会議所の活動に積極的に参加し、視察を受け入れたり、会議を作業所内で開いたりるようにしているそうです。お土産に頂いた「まぐろの角煮」は、三浦の海の豊かさを感じさせる味わい。これからも、新たに買い物代行や配食など様々な事業を立ち上げたい、と意気込む岩崎さんの今後に、これからも注目です!

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