コラボレーション事例

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いらなくなったものをもう1度活かす、リユース活動で社会問題を解決する

株式会社ファンケル×認定NPO法人さなぎ達

横浜市中区にある「寿地区」は、日本三大寄せ場の一つです。寄せ場とは、昭和30年頃、日雇い労働者が仕事を求めて集まった場所のことです。そこで生活するほとんどが男性の単身者で、多くの方々が生活保護受給者です。また、現在では高齢化が進んでいることも課題となっています。NPO法人さなぎ達は、そのような方々をサポートするため、自立支援や安価な食事の提供を行なっています。今回は、NPO法人さなぎ達に衣類や発芽米などを提供している株式会社ファンケルのCSR担当 臼杵ひろみさん、認定NPO法人さなぎ達の川崎泉子さんにお話を伺いしました。(インタビュアー:横浜市立大学 3年 富樫貴治、宮崎理沙、正岡由麻)

 

「もっと何かできるはず」から始まった路上生活者のためのリユース

インタビュアー:

ファンケルさんとさなぎ達さんの協働がはじまったきっかけ・経緯を教えてください。

 

臼杵さん:

ファンケルの「もっと何かできるはず」という経営理念より、「もっとなにかできるはず基金」というファンドを2007年6月に設立したことが始まりです。従業員の給料から1口100円で天引きされる制度になっており、集まったお金はNPOや福祉施設などへ寄付しています。2009年秋頃から、本社の近隣地域で活動するさなぎ達さんへ寄付金を送り出しました。その後、さなぎ達さんのホームページから、路上生活者のために中古の衣料品を収集していることを知り、従業員の不要になった衣類を集め提供しています。そして、昨年から、検品後、商品とならず処分に困っていた発芽米を「さなぎ食堂」に寄付しています。

川崎さん:

横浜市が発行していた「食券」を利用できる店舗として、「さなぎの食堂」を2002年にオープンして以来、主に路上生活者へ低価格で食事を提供しているのですが、震災後、物価が高騰し、食材の調達に困っていました。そんな時期にファンケルさんから発芽米をいただけることになり、とても助かりました。また、発芽米を使用することで、利用者の健康の支えにも一役買っています。

インタビュアー:

両社にとって、協働のメリットはどのような点でしょうか。

 

川崎さん:

ファンケルさんから声を掛けていただいた当初は、化粧品や健康食品を扱う会社のイメージが強く、協働の仕方に

ピンと来なかったのですが、衣料品や発芽米を提供していただいたことで、ファンケルの商品や活動についても知ることができました。

 

臼杵さん:

衣類の提供、発芽米の提供、いずれにしても、いらないモノ・使わなくなったモノを、誰かにまた使ってもらえることは喜ばしいことですし、従業員も助かっています。お互いのニーズがうまく合致しているからこそ、3年間こうして協働し続けることができているのだと思います。

 

インタビュアー:

今後の展望について、どのように考えておられますか。

 

川崎さん:

両者にとって、よりウィンウィンの関係を築いていきたいです。ファンケルさんからの支援を、運営する食堂やホームページなどで紹介することで、ファンケルの取り組みや商品について関心が広まる手伝いになれば、と思っています。

 

臼杵さん:

今後ももちろん活動を継続していきたいです。他にもさなぎ達からの要望で、こちらができることがあれば、応えていきたいですね。

また、ファンケルでは認知症についてのセミナーや車いすの押し方などの講習会を開催しています。正しい知識をつけ、理解を深めることができる場を、従業員に与え、社会と共に歩む会社であることを従業員に意識づけしていくことが、CSRとして大事な使命だと考えています。

 

インタビュアー:

お互いの活動や取り組みをよく知り、理解することで生まれるウィンウィンな関係が協働の継続性につながっているのですね。貴重なお話ありがとうございました。

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