企業訪問レポート
学校で使用されている教材を、地域の子どもたちの学習支援に生かす
グランコーヨー株式会社
学校で使用する科学実験セット、工作キットや昔ながらのおもちゃなど、学校にしか流通していない優れた教材たち。
学校向けの教材を、むかしから扱っているグランコーヨーさんは、こうした優れた教材を学校だけでなく、地域のママたちや子どもたちに提供したいと考えています。
同時に地域のNPOや企業と連携することで、教材と通した地域の子どもたちの教育支援を始めています。
オーナーは、先代の文房具屋さんを受け継いだ2代目大庭公善さん。
奥様も一緒に地域のための活動に邁進されておられます。
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横浜市保土ヶ谷区の閑静な住宅地にある、グランコーヨー株式会社。
先代の文房具屋さんを受け継いだ2代目社長の大庭公善さんは、学校教材の販売を、学校向けに行っていました。
「教材」と聞くと、堅苦しいイメージがありますが、扱っている教材は科学実験セットや手づくり楽器、手作り望遠鏡と思わず触ってみたくなるものばかり。
こうした体験型の教材には、子どもたちの目も自然と輝きます。
そんな折、地域の子どもたちの実情を見聞きする中で、ある疑問がわいてきます。
学校教材は、とても優れているものが多いにもかかわらず、一般には流通していない。
これを地域のためにもっと役立てることはできないだろうか。
そして、特にママ友たちとの会話や、地域の友人との会話の中で浮かび上がるのが、「学童保育」の問題です。
子どもが小学校に上がった際に利用する学童保育は、保育園や幼稚園の待機児童問題に比べて、取り上げられることが少ないこともあり、
あまり対策がなされていない分野のひとつです。
小学生向けの教材を多く扱っている大庭社長は強く問題意識を持ちました。
子どもが小学生になったとたんに仕事を辞めざるを得ないママもいるということ、
また、いま小学校は統廃合が進んだ結果、学童保育施設はあったとしても、通っている学校からは遠く離れた場所であることも多くなっていると聞きました。
折しも、行政の予算は削減傾向にあり、学校の予算もまた削減傾向になっている時代に、学校側も教材をむかしほどは潤沢に買えない背景がありました。
小学生の時期の学びの体験は将来の夢を育むことにもつながる。子どもたちが楽しく学べる時間を作ることは、未来につながる大切なことではないか。
教材を保育施設やNPOの方々につかってもらおう。そして、ママたちと子どもたちのふれあいの時間を作ろう。
大庭社長の号令の元、地域イベントへの出店を企画。
実際に教材を持ち込み、ママたちと子どもたちに教材をためしてもらう機会をつくりました。
社会企業活動として塗り絵をつくっている「ぬりえぽん」と連携し、塗り絵の体験コーナーなども設置。
楽しく、教材を介してコミュニケーションをはかれるイベントを開催しました。
もともと学校でつかわれている楽しい教材です。イベントでの子どもたちとママたちの笑顔に、地域のために役立てるという確信を得た大庭社長。
次はより多くの地域のNPOや、実際の学童保育の現場とのコラボレーションプロジェクトを始めています。
「うちで扱っている教材は昔懐かしいものもたくさんあります。デジタル全盛の今だからこそ、子どもたちにもゲームとは違う、肌で感じる原体験を得てほしい。そこで、おじいちゃんおばあちゃんと孫など、たくさんのふれあいも生まれます。」
「子どもたち同士にも、学校外でのお友達ができるという体験を提供できると感じました。
教材があることで、みんなで楽しめ、みんなが集まりやすいイベントや場の提供ができればと思います。」
大庭社長の活動はNPOや実際の施設とのコラボレーションの中で、日々実を結びつつあります。
最後にゆくゆく実現したい大きな夢もお聞かせいただきました。
「地域のママたちにも先生になってもらって、地域ぐるみでの育児サービスにつなげられないかと考えています。
ママたちが輝いてできる仕事という面でも、教材と育児という組み合わせは有効ではないでしょうか。
そうした地域の育児環境の充実のために学校教材という資源を使ってもらえれば嬉しいです。」
ママと地域が、一緒に子どもたちを育てられる。
そんな社会の実現に向けて、ここ保土ヶ谷区からも新たな一歩が踏み出されようとしています。
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