NPO訪問レポート

一覧に戻る

次の世代が活躍できる場づくりを

NPO法人みうら映画舎

三浦には、映画、ドラマ撮影のロケをプロデュースしてくれる
NPO法人があります。NPO法人みうら映画舎さんです。

今回は、みうら映画舎の土田さんにお話を伺いました。

みうら映画舎は、2005年に設立された設立7年目の団体です。
三浦市が中期計画を策定する中で、「三浦に何ができるのか?」
という議論の中で、当時からロケに多く使われていたことに着目し、
廃校であった三崎高校を中心に、フィルムコミッション(映画等の撮影場所誘致
や撮影支援をする公的機関)をしてみようと意見が生まれたのがきっかけです。

しかし、やるからには経済的にも持続可能な仕組みでやることが大切。
そして、ロケ現場のコーディネーターは昼夜関係なし。
天気や季節にも左右されるし、現場で丁寧に対応しようとすると
到底公務員の業務規程の中でできる仕事ではない。
そのため行政としてではなく、民間事業者として現NPO法人みうら映画舎を
設立する形をとり、当時、三浦市議会議長をされていた土田さんらは、
やるなら自分でやろうと今の仕事に就かれたそうです。
みうら映画舎では、ロケ地の誘致、宿泊場所やお弁当など、細かい部分まで
現地のコーディネートなどを行い、ロケの撮影には必ず同行します。

現在では、自由に高校の校舎を撮影に利用でき、
都内から日帰りで撮影できる場所は他にないこともあり
大変多くの作品で舞台となっています。
元々は取り壊す費用がないために放置されていた校舎が
今では、収入減として活用されている、おもしろい取り組みです。

お邪魔したオフィスは、「インフォメーション ギャラリーR0」として
オープンスペースになっていました。
ロケの写真や、俳優さんのサイン、小道具、台本など
三浦で撮影された作品のまつわる様々なものが展示されており、
見ているだけでも楽しい場所なのですが、
このスペースは、周囲の住民の方々の憩いの場として公開されています。



「R0とは、映画に使われる年齢制限の表示“R18”のR
を取って、老若男女誰でも来てほしい年齢制限なしの場所
という意味を込めています」
と土田さんは教えて下さいました。

長年、「三浦のプロモーション」と「外貨獲得」に取り組んでこられた
土田さんですが、これからは三浦の中の人をもっと元気にしていきたい
とお話下さいました。

「だって暮らしている人が魅力的で楽しそうじゃなきゃ、
 外から人も来ないよね」
と言う土田さんの顔はとても楽しそうです。

このR0のスペースも、ロケ事業で得た収益を市内のコミュニティづくりに
活用してほしいと作った場所です。
それ以外にも、神奈川県「新しい公共の場づくりのためのモデル事業」
の枠組みを利用して三浦市とみうら映画舎で「まちカルde生きがい
にぎわい盛り上げタウン」という取り組みも始まりました。
これは、三浦の魅力や文化を知ったり、気軽に参加できるアートや映画などの
イベントやワークショップなどを開催することで、
外からの観光客を呼び込む前に、まず住んでいる自分達住民が、三浦での暮らし
を楽しんでいこう!というコンセプトで取り組まれています。

元々、三浦という場所は、青年会議所などが中心となって先輩、後輩が
業種に関係なく交流をしながら、まちを支えてきたそうです。
小さなまちである分、コンパクトで良くも悪くも、行政も企業も
商店もつながりが強い場所。その分、しがらみもある。

ただ、三浦に残っている若者はとても危機感を強く持っているそうです。
それは、都市部よりも経済の冷え込みや、閑散としたシャッター街の
街並みを目の当たりにしているから。
そんな若者たちが「まちをもっと元気にかっこよくしたい!」
と最近動き出しているそうです。

「私たちはバブルの良い時代を知っていて、つい“戻りたい”と感じてしまう。で
も次の世代はその頃を知らず、強い危機感の中で新しい三浦にしていこうと
いう志を持っています。その彼らが動きやすいように、地ならしをしていく。
これからそんな役割が果たせたらいいなと思っています。」
と土田さんはお話下さいました。

これから、三浦のまちがどんな進化を遂げていくのか
とても楽しみです。

▶この記事を紹介する


このページのトップへ